時 空 堂

「知りたい?」

 音もなくあの人がふわっと出てきた。

「うわっ。本当急に現れますね」

「そう?」

 彼女は悪びれた様子もなく、たたずんでいた。

「あの、ひとつ聞いてもいいですか?」

「何?」

 彼女は視線だけをこちらに向けた。綺麗な人だ。

「さっきまで、ほんの1時間前まで、前と同じことを繰り返してたんです。なのに、急に違うことが起きたんですけど」

 動揺していて、少し早口で話した。
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