時 空 堂

 家に帰って、一応あいつに合格の報告をしようとしたが居なかった。

「まぁ、いいか」

 部屋へと戻り、ふぅっと息を吐く。やっと肩の荷がおりたようだった。椅子に座り、天井を見あげる。あいつになんて言って家を出ようか。そんなことを考えていると、スゥっと彼女が現れた。

「いっらっしゃい」

 笑顔で彼女を迎えた。

「機嫌がいいみたいね」

「あぁ。受かったんだ、大学に。俺やっと行きたかった大学に行けます」

「そう」

 少し沈黙が走る。

「今日は何か用事ですか?もう目的は達成されましたよ」
< 209 / 426 >

この作品をシェア

pagetop