時 空 堂
「うーん、何から話したらいいっすかね。・・・あいつがおかしくなったのは、父親が死んで少し経った頃でした」
思い出すと少し気持ちが悪い。
「食卓では俺と向かい合わせで座っていたんですよ。それが何故か急に俺の横に座り始めた。少ししたころに、俺の手を握るようになって・・・。さすがに実母でも気味が悪くて、少し距離をとるようにしたんです」
彼女は立ったまま、無表情で話を聞いていた。
「そしたら、今度は部屋に入ってきて、むやみやたらに詮索してくるようになって。少し声を荒げたら泣きじゃくるようになって、どうしていいかわからないくらいになったんです」