時 空 堂

 恥も何もかも捨てて懇願する。俺は命が大事なんだ。

「無理よ」

 俺の気持ちを、一気に奈落の底に落とす言葉が聞こえた。

「え・・・、今、なんて?」

 信じたくなくて、もう一度問う。

「無理と言ったのよ」

「なっ、何で?何でだよ、お願いっ、助けて」

 彼女は視線を外さずに俺を見続ける。

「最初に言ったはず。一度だけ、と。賢いあなたならこの意味分かっている思ってたわ」

 彼女の言葉に力が抜けていく。彼女の着物をなぞるように、膝から崩れ落ちた。

「行くことしか出来ないということ・・・、なのか」
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