時 空 堂

「それでもっ、ここに連れてきたんだから、また別の時間に連れて行くことくらい出来るんじゃ・・・」

「無理よ。私にはもう何も出来ない」

 その言葉を聞いて、うつむいた。このまま黙ってあいつにやられろってことか。

「もう何もかも終わりか」

 そう呟いて彼女を見上げると、少し悲しそうな顔をしていた。

「話が出来て良かったわ・・・。時空堂のご利用、ありがとうございました」

 そう言ったあと、すぅっと彼女は消えていった。もう二度と彼女は出てこないだろう。そう思わせる言葉だった。
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