時 空 堂
そして彼女が消えたと同時に、扉がガチャガチャと音を立てて開いた。
「恭ちゃん、恭ちゃん、恭ちゃん」
嬉しそうな顔をしてにこにこと笑った。こんなに幸せそうに笑っているのを見たのはいつぶりなんだろう。
「鍵があってよかったわぁ。扉を壊さなくてすんだもの」
くすくすと子供のように笑う。どうしてこうなったんだろうな。俺は大学に行って、父さんのように立派な仕事をして皆で笑って、って当たり前のことを願っていただけなのに。
「何を考えてるの恭ちゃん。怖くないわよ。一緒に行くからね、恭ちゃん」