時 空 堂

 あたりを見回すのをやめて、家へと向かった。

「あれ?潤さん?」

 ふと呼ばれて振り返る。そこには榊さんが、野菜などを詰め込んだスーパーの袋を両手に持って立っていた。

「お帰りですか?」

 にっこりと笑いながら問いかけてきた。

「今帰りだよ。榊さんは?」

「私は明日の朝ごはんの買い出しです」

 そう言って両手に持った袋を見せてくれた。

「貸して、持つよ」

「悪いです、大丈夫ですよ」

「男に格好つけさせてよ」

 無理矢理榊さんの両手から奪い取った。
< 236 / 426 >

この作品をシェア

pagetop