時 空 堂

「もし何のリスクもなく未来か過去に行けると分かったら、潤は行く?」

「いや、行かないと思う」

 本心だ。

「俺は今の現状に満足しているし、未来は自分で選びたいし、過去に戻って過ちを正しても、その後が満足になるものかなんて分からないだろう?」

「そう。それだけ思っているなら、行かないでしょうね」

「あぁ、行かないよ」

 そう答えると、刹那は立ち上がった。

「こんな風に落ち着いて話すなんて滅多にないことなのに、もう終わりみたい」

 そう言いながら、刹那が飲んでいた湯飲みを奥へと持っていった。きっと今から客が来るんだろう。
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