時 空 堂

「私、それなりに幸せだったみたい」

「そう」

 お姉さんが少し笑った気がした。

「子どもが生まれてね、子育てに躓きながらもあっという間に大きくなって、子どもたちが結婚して家が寂しくなるんだけど、旦那さんと二人で気ままに生活してるの」

 泣くことよりも笑うことの方が多い人生だった。段々と意識が遠くなる。

「お姉さん、私なんだか眠たいみた・・・い」

「映像が脳に直接流れるから疲れたのね。ゆっくりお休みなさい」

「・・・う、ん」

 目を閉じた後、そのまま意識を失った。


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