時 空 堂
 
 そう言って直子さんも部屋を出て行った。

「ふぅ。あの二人が一緒だとなんだか落ち着かないわね」

 千賀は髪を一つにくくりながら、先ほどとは少し違う声質で話した。

「そう言ってやるなよ。自分の夫と義理の姉じゃないか」

 クククっと慎介が笑うのを聞いて背筋がゾクゾクとした。

 なんだか気分がよくない。

「赤の他人じゃない。身内ですら信用できないのに一緒にいたって安心できないわよ」

 
< 280 / 426 >

この作品をシェア

pagetop