時 空 堂

「どうしようかねぇ。何か持っていきたいものはある?」

「えっ?なんでもいいの?」

「あぁ。二人が持ってくれてる方があの人も喜ぶと思うからね」

 そう言うと二人は私の目も気にせず、あちこちひっくり返すように探し始めた。

「持って帰るものを見つけたら言っておくれ。私は下に居るから」

 旦那さんが居ないこの部屋に入るのは、まだ辛い。振り返り、階段に向かおうとしたその時だった。

「母さん、あんたが居なかったらなんでも手に入るんだよね?」

「何?どういうこと?」

「この家も、遺産も。すべて俺たちのものだよね?」



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