時 空 堂
慎介が目の色を変えたように迫ってきた。
「ちょっと何を言ってるんだい。慎介っ。千賀、千賀、慎介をとめっ」
そう言おうとした瞬間、背後に足場がないことに気がついた。後ろはもう階段。
「千賀っ、千賀」
必死に迫り寄る慎介の腕をつかみ、背後にいるはずの千賀を覗き込む。でも千賀は私の方を見ながら、ただ座っていた。
「何を考えてるの?慎介。お願い、やめて」
「母さん、ここまで育ててくれて感謝してるよ。でもね、もういらないんだよ」
そうにっこり笑ったあと、慎介は私の腕を払い、階上から突き落とした。