時 空 堂

 私を殺そうとした二人に沸々と怒りが湧いてきた。絶望の淵に居た私はどこかへ行ってしまった。

 私は何もしていない。結婚して家を出て行った二人がいつの間にか変わってしまっただけ。

 自分に言い聞かせるように、うんうんと首を振った。

「もし子供が間違ったことをしているのなら、お姉さんならどうする?」

「さぁ。怒るか、正すか、泣き落とすか・・・。何がいいかなんてわからないわ」

 綺麗な着物を翻し、お姉さんは私に背を向け窓の外を眺め始めた。
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