時 空 堂
こいつはクロ。全身真っ黒だからクロ。
何故全身真っ黒か・・・。それはこいつが“猫”だからだ。
この店では猫が喋る。
「相変わらずクロが喋るのには馴れないな」
俺はクロを抱き抱えながら言う。
「やかましい。抱くな。撫でるな、気持ち悪い」
「なんだよ。刹那には撫でさせるくせに。さすが雄だな」
初めてクロが喋ったのを見聞きした時は、さすがに腰が抜けた。俺の知っている猫は絶対に喋らない。
二足歩行をしていないだけよかったけど。万が一、二足歩行なんてしてたら、俺は泡吹いて倒れていたはずだ。