時 空 堂

「それには事情が・・・。あの時間がないので手短に話します」

「はい。あの、ボイスレコーダーに録音しても?」

 鞄の中から小型の機械を見せてきた。

「えぇ。でもちょっと待ってください」

「はい」

「私、子供たちに殺されかけたんです」

 そう言うと相川さんは目を丸くした。驚くのも無理はない。そんなこと急に言われたって反応に困るだろう。

「えっと、それはどういう・・・」

「そのままです。決して私がボケたわけではないです。階段から突き落とされ、こんな体に」

 そう言うと、相川さんは首を傾げた。

「実は今だけなんです。動けるの。本来なら話せないし、動くことも難しいんです」

 ますます不思議そうな顔で困惑していた。
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