時 空 堂
「私はまもなく死にます。子供たちに遺産も何も残したくないんです。過ちに気付いてもらうために」
「・・・そうだったんですか」
なぜかニッコリと相川さんは笑った。
「再び危険が来るのを恐れて、芝居を打っている。そういうことですよね?」
「えっ・・・」
この際そういうことでも構わないかもしれない。もう時間がないんだから。
「そうです。そうなんです」
「なるほど」
「だから、遺産をあの子達に渡らないように遺書を書きたいんです」
そう言うと「分かりました」と言って、鞄から何か紙を出し始めた。