時 空 堂

「でも、虐待などがある場合は別なんです」

「じゃあ、私の場合どうなるんですか?」

 そう言うと、相川さんは困った顔をした。

「証拠がないからなんとも・・・。でも、ビデオを撮っておいたらなんとかなるかもしれません。そうすれば、自分たちのしたことが公になるのを避けて、遺産を奪おうとしないかもしれません」

「なろほど・・・。お願いします、あの子達を正したいんです」

「はい。なんとか頑張ってみます」

 そう話したあと、ビデオを撮り、念のために遺書を書き、その様子もビデオに収めてもらった。

「お疲れ様でした」

 書き終えたあと、相川さんが優しく笑った。

「旦那さんが亡くなった時と変わらず強い顔をしてらっしゃいますね」
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