時 空 堂

「帰れ」

 俺の悲鳴にも似た悲痛な声に反応したのはクロだった。

 いつの間にか俺の背後に立っていた。

「クロ、おまえ何やってたんだよ。刹那が、大変なんだ。どうにかしてくれよ」

「大丈夫だ」

 クロは刹那を見ても落ち着いていた。

「大丈夫って、そんなわけないだろうっ」

「大丈夫だと言っているだろう。潤、おまえが帰れば平気なのだ」

「なっ、どういう事なんだよ」

「・・・おまえが知る必要はない。もう帰れ。あとはどうにかする」

 クロの言葉が引っかかり、刹那を抱きしめ、俺は離さなかった。

「必要ないってなんだよ。俺だってここに出入りしている人間なんだ。教えてくれよ」

 子供のわがままみたいだった。
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