時 空 堂

 お互い視線を外すことなく見合っていた。

「ふっ。後悔しないのならば教えてやろう」

 クロは口角を上げ、ふっと笑った。

「かまわない。教えてくれ」

 そう答えるのを予想していたかのように、クロは微動だにしなかった。

「・・・おまえがここにいると、この時空堂に歪みが生じる」

「歪み?」

「そうだ。ここは時空堂。本来、過去か未来のどちらかにいく場所であって、普通の人間が居続けていい場所ではない。なのにおまえはここに居続けている。そのせいで歪みが生じているんだ」

「それがなんだっていうんだ?」

 クロは目を細めた。

「生じた歪みを刹那が全て吸収し、歪みを消滅させている」
< 315 / 426 >

この作品をシェア

pagetop