時 空 堂

「じゅ、ん」

「刹那」

 抱きしめていた手に、刹那はそっと手を重ねてきた。冷たい手。

「だ、丈夫・・・だか、ら」

 掠れた声で途切れ途切れに話したあと、ゆっくりと目を開けて俺を見た。

「潤の、せいじゃ・・・ない」

「刹那」

 名前を呼ぶことしか出来なかった。

「そん、な顔しな・・・で」

「刹那・・・あ、あぁああ」

 刹那の体が透け始めていた。

「な、なんで。刹那、消えるな。消えたらダメだっ」

 距離をとったままだったクロが、俺の悲鳴を聞き駆け寄ってきた。


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