時 空 堂

 いつものように、ぎぃーっと古びた音がして扉がゆっくりと閉まった。

 下を向き、唇を噛み締める。

「・・・ごめん」

 結局俺は助けることも、力になることも出来なかった。

 ここに立ち止まっているわけにはいかない。そう思い重たい足を動かし、家へと向かった。

 景色の色がなくなる。あの時と同じ感覚。

 頭からゆっくりと力が抜けて、思考が回らなくなる。どうしていいか何も分からない。

 俺はただ刹那の側に居たかった。ただ待つだけの生活で良かった。

 でも俺にはその資格すらなかった。

 そう思った時、一筋の涙が自分の頬を流れた。








 そのあとどうやって家に戻ったのか記憶はない。
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