時 空 堂

 そう言いながら、榊さんは下の階に降り始めた。

「あ、そうそう、潤さん」

 少しわざとらしく何かを思い出したように話し始めた。

「潤さんの探し物、右の棚の方にあるかもしれないですよ。違っていたらごめんなさい」

 そう言って階段を降りていき、姿が見えなくなった。

 右の棚?

 まだ手をつけていない右の棚を見た。くしゃくしゃのプリントや色紙、いろんな物が溢れかえっていた。

「・・・ここ?」

 榊さんの言葉に疑問を持ちつつ、右の棚に手をつけていった。

 プリントを床に落とし、漫画本を何冊かまとめて放り出した。

 いろんなものを棚からのけ、探し物を探した。

 数分が経った頃、小説をのけた棚の奥に探し物を見つけた。
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