時 空 堂

「あ・・・・、あった。これだ」

 真っ白な縦長い箱が棚の奥に立てかけて置いてあった。何年ぶりだろう。すべての記憶をここにしまい込んで、二度と向き合おうとしなかった。

 でも、今俺は向き合おうとしている。向き合うつもりなんてなかった・・・。でも向き合わないといけない、何故かそう思った。

 刹那を失わないために、何かいい考えが浮かぶかもしれない。

 俺はまだ諦めるつもりはない。刹那を消してはいけない。

 この世の中に無駄にしていい命など存在しないのだから。
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