時 空 堂

「俺が高校生の頃、彼女が居たんだ。可愛いけど、口が悪くて、曲がったことが大嫌いな笑顔の可愛い彼女がさ」

 クロは黙ったままこっちを見ていた。

「小学校の時、俺は彼女に出会っていたんだ。同じ野球をしてたんだ。そんな彼女と高校で再会した時は運命感じたよ。ずっと気になっていたんだから。覚えてくれてた時は歓喜したね」

 当時を思い出すと胸が痛い。

「付き合えるようになって、俺は本当に舞い上がっていた。大事にしよう、こいつのために何でもしてやろう、守ろうって思ってた。どこに行くにも、ずっと一緒に居たいくらいでさ。でも、その時間はそんなに長くなくてさ。彼女は・・・、恭華は消えたんだ。俺の前から」

「ほぅ。それで?」

「それで終わり。俺と彼女はそれ以来会っていない」

「ふん、一体何の話なんだ。その彼女でも探せというのか?それともここを利用して、過去のその彼女の元にでも飛ばしてくれと言うのか?」

 クロは鋭い目つきをしながら、俺の方を見た。
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