時 空 堂
「今までに幽霊になる確率のあった女がその女しか居ないとして、刹那とその女が同一人物だと何故言い切る?」
「言い切るわけじゃないよ。ただ・・・、そう思いたいんだ。もう一度会いたいだけなんだ。もちろん無理な仮説だと分かってる。でも、この不思議な空間でならあり得ると思うんだ。姿かたちも性格も違う刹那と恭華だけど、気になる、放っておけない気持ちは一緒なんだ」
クロはまっすぐ俺の方を見て、無表情で聞いていた。
「・・・では一つだけ聞こう」
いつもの声色。
「その女、幽霊になるということは死んだのだな?」
「・・・は、はは。そこ聞く?」
乾いた笑いと、茶化した俺の言葉にクロは何も反応しなかった。
「ふーっ。・・・うん、そう。彼女は、恭華は死んだよ。数年前に事故で急に俺の前から居なくなった。二度と俺の前には帰ってこない」