時 空 堂

「こんな自分勝手な生き物になんて生まれたくなかった。人間になんてなりたくなかった。そう思った。そんな時、不思議な力を持つ者に出会い、入れ物・・・肉体を与えてもらい男の子は生き返った」

 この話は一体・・・。

「その不思議な力を持った者は、男の子を生き返らせたあと、ただの入れ物と化し動かなくなった。生き返ったと同時に不思議な力を得た男の子は、いらない人間を排除していくことを思い付いた。そうすればこの世の中は綺麗になっていく。そう考えたのだ」

「・・・それって」

 クロは話しかけた俺の方を見ることなく、話しを続けた。

「でも、それはあまりにも大変なことだった。排除しようにも数が多すぎる。そこで欲の強い人間を呼び寄せることにした。排除されるべき人間自ら、招き入れるように」

 悪寒のようなものが、俺の全身を駆け巡った。
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