時 空 堂

「黙れ」

 クロの怒号に驚き、肩をびくつかせた。クロは小刻みに震えながらこっちを見ていた。

「おまえに何が分かる?自分の親に捨てられ、死んでいったこの気持ちが・・・。おまえに何がわかるというのだ」

「そりゃ、わかんないよ。でも、失う気持ちは分かる。きっとクロの両親だって、苦しんだはずだよ」

「自分の子を捨てる親がどうして苦しんだりするんだ」

 クロは噛み付かんばかりの勢いで、叫んだ。

「苦渋の決断だったんだと思うよ。もちろん俺には本当の気持ちは分からない、でも、生き延びて、どこかで幸せに暮らして欲しかったんじゃないかな」

「なっ」

「幸せになって欲しいと願っていたはずだよ、クロ」

「・・・もう遅い」

 小さく呟くクロの肩は震えていた。
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