時 空 堂
「それを知ったところで何の得になる?」
「クロ、頼むっ。この通りだ」
俺は立ち上がり、クロに向かってまっすぐ頭を下げた。椅子が、ガタンと音を立てて倒れた。
クロは、はぁっと小さくため息をついた。
「・・・座れ」
「クロ」
「いいから座れ。聞こえぬか?」
威圧的に言い放ったあと、目を閉じ何かを考えるようにクロは黙り込んだ。何も言えず、俺はただクロの反応を待った。
何の音もしないこの空間では少しの音ですら、すごく気になる。自分の心音すら聞こえそうだ。
クロの沈黙すら、今の俺には怖い。自分で問いたくせに、答えを聞くのが怖い。