時 空 堂

「・・・ある日、手元に居た魂が消滅した。だから入れ物に入れるための他の魂を捜した。何回もそんなことを繰り返したが、年月が経つにつれて、なかなか良い魂が見つかりにくくなっていた」

 少し低く、柔らかい声色で先程とは全く違っていた。

「捜して捜して、やっと見つけた魂は無欲で、愛に溢れている魂だった」

 何の話しなのか俺には分からなかった。

「綺麗な入れ物だったよ。だがあっけなく儚いものだった。あっという間にそやつの入れ物は燃え尽き、彷徨おうとする魂を、持っていた入れ物に入れた。長年同じ入れ物を使っていたせいか、白髪になっていたが、顔や体は綺麗なものだった」

 この話はもしかして・・・。

「クロ、それって」

「あぁ。これが刹那、お前の恋人だった恭華という女との出会いだ」

「じゃあ、やっぱり恭華なんだね。あぁ」

 嬉しくて、思わずため息が出た。

「だが、刹那はお前のこと覚えていない。思い出させることは不可能だ」

「え?」

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