時 空 堂

「言わなかったか?余計な感情は無意味に等しい。だから入れ物に入れる時に、すべての記憶を消し去る。刹那はお前のことなど、記憶にない」

 そうだろうとは予想していた。でも、そうはっきり言われると、少し切なかった。

「刹那と二人で話をさせてくれないか?」

「・・・刹那が苦しむのにか?」

「分かってる。長くはならない。少しでいいんだ」

「・・・好きにすればいい。その代わり、その話がすんだら出て行け」

「あぁ」

「もう少しで刹那は戻るだろう」

 そう言うとふわっとテーブルから飛び降り、ゆっくりと奥の部屋へと向かって行った。
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