時 空 堂
「ありがとう」
クロに向かって頭を下げながら、小さく呟いた。
いろいろな話しをしすぎて頭が痛い。現実からあまりにも掛け離れすぎて、俺の許容範囲を超えている。
でも突然失った人ともう一度きちんと会えるなら、何としてでも、何をしてでもどうにかしたい。クロも同じ気持ちだったんではないだろうか。
何の音もないこの空間に居た刹那は、どんな気持ちだったんだろうか。記憶のない自分は、どこの誰なのか不思議に思わなかったんだろうか。
・・・俺のことを少しでも思い出すことはなかったんだろうか。
頭をくしゃくしゃっとしながら、テーブルに突っ伏した。