時 空 堂
「何から話そうか・・・。刹那はさ、自分がどこの誰ってわかる?」
「いいえ。知らないわ。気にしたこともないし、知ろうとも思わない」
刹那はクスッと笑うように言った。
「どうして?」
「知っても、この生活に変わりはないから。私はずっとこのままだもの」
「俺が刹那を知っていると言ったらどうする?」
「えっ」
驚いた顔をして、こっちを見た。でもすぐに、いつもの冷静さに戻った。
「そうね。聞きたくないわ。変な感情が出てきそうだから。聞いたってこの現状は変えられないなら聞くべきではないでしょう?」
「じゃあ、変えたいと願ったことは?」
「ないわ。このままで構わない」