時 空 堂
「刹那」
名前を呼びながら刹那を見ると、眉を下げ、少し瞳を潤ませていた。こんなに切なそうな顔を見るのは初めてだった。
「・・・頭の中で声がするの。「目を覚まして」って。誰の声かも分からない、頭が割れそうになるほどだった。でも、それは私の・・・、生きていた時の声なのかもしれないわね」
「性格も、顔も生きていた時とは違う。名前もね」
「じゃあ、どうして私だと?クロが何かしたの?何か教えてくれた?」
「・・・いや、刹那についてはほとんど話してくれなかった」
「じゃあ、何故?」
「・・・最初はただなんとなく興味を持ったからここに来ていた。次に気になったのはピアスだった」
「ピアス?これのこと?」
刹那はそう言って、自分の耳についているピアスを触った。