時 空 堂

 何分経っただろうか。鼻水をすすり、涙を拭き、深呼吸をした。

「・・・よしっ、いいよ」

「そうだな、じゃあ、話すとするか」

 クロは何かを考えるように目を細めた。

「俺が先程話したことは本当だ。人間を恨んでいたのも本当だ」

「じゃあ、刹那が言っていた業っていうのは?」

「それも、本当だ。俺のような人間を出したくなかった。いや、元々は親を恨み、人間に復讐したいと思っていた。でも、魂になって彷徨っていた間に、哀れな魂を救済したいという思いが生まれたのだ」

 何も言えず、俺はただ聞いていた。

「輪廻転生は分かるか?」

「・・・うん。何度でも生まれ変わるって感じのことだよね」

「あぁ。人間は業を積み重ね、払拭し生きている。前世や現世で善人でも来世では極悪人かもしれない。さらにその来世で凡人だったとしても、少しずつ業は積み重なっていく」
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