時 空 堂
「でも、それなら何で最初からそういってくれなかったんだ?わざわざクロが悪者みたいに言ってさ」
「・・・悪者なのだよ」
クロは目を細めた。
「元々ここは憎い人間を・・・、いらない人間を排除しようと考えていた場所だ。でも、力を持っていた者はそんなことは許さなかった。救済したいという心が少しずつ生まれていたのを見透かしたんだろう」
「その力を持った者っていうのは何者なの?」
「さぁな。分からぬ。特殊な人間だったのか。はたまた神だったのか。もう遠い昔だ。いなくなってしまった今、もうわかりようがない」
クロは首を振りながらそう答えた。
「無差別にいらない人間を排除しない代わりに、この浄化の方法を取るよう決められた」
「少しでも、クロに業が積まれないようにしたのかもしれないね」
俺がそう言うと、クロは目を丸くしていた。
「ふっ、そうかもしれないな」