時 空 堂

 クロはコクンと頷いた。

「業が貯まっているってことなんだな?」

「・・・うむ」

 クロは小さくもう一度頷いた。

 思わぬクロの告白に、少し動揺した。

「だがな、潤。今までの奴らとは、少し訳が違う」

「どういうこと?」

「貯まってはいるが、まだ積もりきってはおらぬのだ」

「えっ?積もりきってないということは、じゃあ、何でここに?」


「お前は、刹那を助けるためだけにここに出入りしていた」

「なっ、じゃあ、何故最初からそう言わないんだよ。言ってくれれば、早かったじゃないか」

 カッとなって、思わず声を荒らげた。

「それでは、意味がない」

「どういうこと?クロの話は遠まわしすぎなんだよ」

「ははっ。意味がない、・・・死んだ人間、人一人を助けるには、人並み以上にその者への思いが必要なのだ。その者の人生をかえるわけだからな」
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