時 空 堂
「もし俺が刹那を恭華だと気付かなかったら、どうなってたの?何か変わってた?」
「それは強制的に引き離すことになる。そもそも、刹那の体調不良は、自分のことを知っている、思っている者が近くに居るのに自分だと気づいてもらえないことから起きている。恭華の魂は気づいて欲しさに暴走し、刹那の体を乗っ取ろうとする。そんなことされては困るからな。強制的におまえと引き離し、この時空堂はおまえの前から姿を消すことになるだろうな」
「・・・もし乗っ取ったら、刹那の体は恭華のものになったの?」
「いや、ならぬ。刹那と恭華は別々のものだ。相反することになり、乗っ取った段階で消滅するようなっておる」
「今は平気なの?」
「うむ。そのために記憶も感情も消しておるのだからな。・・・が、やはり魂は覚えておるのだな。結局は思い出そうとする」
クロは小さくため息をつきながら、少し笑っていた。