時 空 堂

「おまえは刹那を恭華だと気付いた。だから、あえて言わせてもらう」

「・・・何?」

「いけ」

「・・・いけ?いけって・・・、まさかっ」

「そのまさかだ。過去にいき恭華を助けにいくのだ。救う者とはそういうことだ」

 自分の胸をぎゅっと押さえた。

「俺は・・・、俺は」

 言葉に詰まった。恭華に会いたい。でも、そうなると刹那は消える。

「潤、いっては駄目」

 奥から刹那が慌て出てきた。

「刹那、盗み聞きか」

 クロは刹那の方を見たが、刹那は俺の方へと歩いてきた。

「潤、見せてあげる。ここに来た人の末路を。クロは、あなたをただどちらかにいかせたいだけなのよ」

 俺はハッとしてクロを見たが、クロ自身、刹那の言葉に驚き目を丸くしていた。予想していなかった言葉のようだった。
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