時 空 堂

 刹那は俺の方に手をさっと伸ばした。

「やめろっ」

 クロの制止よりも早く、刹那は人差し指を俺に向けた。

 その瞬間、視界が真っ暗になり、体がグニャリと違和感を感じ、思わず目を瞑った。

「せ・・・、刹那?」

 ゆっくりと目を開けると、真っ暗闇の中に刹那はぽつんと立っていた。

「ここは?クロはどこ?」

「ここは私の力で作っている空間よ」

 刹那は自分の手をじっと見ていた。

「刹那」

 歩み寄ろうとし、少し足を踏み出した瞬間、刹那はその手を俺の方に向けた。

「お願い、近寄らないで。頭が割れそうなの」

 そう言いながら、反対の手で頭を押さえていた。

 恭華の魂が暴走しているのだろうか。

< 374 / 426 >

この作品をシェア

pagetop