時 空 堂

「ごめん」

 力なく言った一言に、刹那は小さく笑った。

「ふふっ。なんで謝るの?潤は悪いことしていないでしょう?」

 口元を隠したしぐさがとても艶やかだった。

「でも」

「でもとか言わないで。私は今から、あなたにひどいことしようとしているのだから」

 眉を八の字にしながら、刹那はなんとも言えない顔でこちらを見ていた。

「ひどいこと?」

「あの人たちの末路をあなたに見せるの」

 きっと時空堂に来た人たちのことを、言っているんだろう。

「ねぇ、潤。あの人たちの末路を見た上で、あなたがどうするか決めて」

「どうするか・・・って?」
< 375 / 426 >

この作品をシェア

pagetop