時 空 堂

「・・・そう。私を捨てるのね。そんなにあの人が良かったの」

「違うっ、違うんだ」

 女はゆっくりと前に進む。

「そうじゃないんだ」

 男は後退りしていたが、何かに躓き尻餅をついた。

「じゃあ、じゃあなんでっ、・・・っ」

 女の悲痛な叫びは、無惨にも途中で遮られた。

「・・・うっ」

 女は腰のあたりを押さえながら、膝から崩れ落ちた。

 一瞬にして服が赤く染まっていく。

 背後には髪の長い女が鋭利なものを持ち、立っていた。

「初めまして」

 ニコっと笑う髪の長い女。

「お、おまえ」

 男は慌てふためいていた。

「なんで、こ、ここに?」

「ふふっ」

 何も答えず髪の長い女は女を見つめていた。
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