時 空 堂

「やっと理解した?一度しか行けないのよ。行くしか出来ない」

 目眩がし、体がふらつき、目の前が真っ暗になった。絶望ってこんな気持ちなんだ。

「分かった?一度行ったら帰れないってことよ。私は本当に良いか確認したわ」

「・・・うっ」

 泣くしかなかった。希望の光は断ち切られた。

 もうすがる言葉は思い浮かばなかった。

「思い出したくない記憶を入れなければ、また新しくやり直せたかもしれないのにね」

「なっ、お姉さん知ってて私に言ったの?」

 口元を隠していて表情がうまく見えない。

「・・・さぁ?」

 フフッと笑いながら目を細めているのは分かった。
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