時 空 堂
クロは顔を下げ、机を見た。
「輪廻転生し、誰かと幸せな時間を過ごすことも、老いていくことも、俺は選ばなかった。ただ、ただ会いたかったのだ」
机の上に、一粒の涙が落ちた。
「俺は、ただそれだけのためにここを作り、この世界に固執し続けている。弱いものだな。前に進めない。どうしても、俺は・・・っ」
クロは肩を震わしていた。
「・・・クロ」
刹那がクロの背中を撫でた。
「クロ、無理に進まなくていいさ。気が済むまでここで待ったらいい。きっと、会える。どれだけの時間、待ってたのか俺は知らないけどさ、いつか会えるよ。この世界は不平等で、思うようにいかないことだってある。でも、さっき刹那に見せられた人たちだって、幸せな時間もあったはずだ。例え今になかったとしても、来世にあるかもしれない。自分勝手で、強かで、傲慢でも、未来がないわけじゃない。だから、クロ。クロにもきっと幸せな時間が来るはずだよ」