時 空 堂

 クロの背中に乗せてある刹那の手の上に、俺の手をそっと添えた。

「刹那、クロ。俺、いくよ」

 そう言うと、刹那は俺の顔を見た。クロは俯いたままだった。

「クロは前進出来るようになったら、時空堂を辞めて、未来に向かったらいい。俺はこれ以上恭華を思うだけの自分はやめるよ。あの時で止まったままの時間を進める」

「ちょ、ちょっと待って。でも」

「刹那、俺これでも考えたんだ。クロの気持ちになんとなく気がついたときに、俺はどうしたいんだろうって。でも、やっぱり答えは一緒なんだよ」

「会いたい、か」

 クロが小さく呟いた。

「そう。クロと同じ答えに行き着いた。でも、俺の場合、ここで待ってても会えるわけじゃない。それなら、俺がいくしかないだろう?ここに居たら消滅させてしまって、それこそ二度と会えなくなる。ごめんな、刹那。俺いくなって言われてたのに、守れないや」
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