時 空 堂
時空堂
「ねぇ、クロ」
潤がいってしまった。きっと、潤は私の中身を救うだろう。ならば今の私は消えてしまう。
「潤が私の中身を救ったら、私は消えるわよね?」
「あぁ」
「クロはどうするの?」
「また探すさ」
「中身を?」
「あぁ」
「そう」
少し沈黙が走った。
「どうなったか、見届けにはいくがな」
「見届け?」
「あぁ。潤が救ったか見届けにな」
私が消えたら、救ったことになるだろうに・・・。でもそれは言わなかった。きっと見に行きたいんだろうから。
「クロ、今までありがとう」
「おまえもか。俺は何もいいことなどしていないと言っただろう?」
「言いたかっただけだから。・・・また会いましょうね」
「・・・そうだな」
小さな声で、クロは答えた。