時 空 堂
「あいつは上手くやるだろうかな」
「・・・潤ならやるでしょうね」
そう言うと、クロはふっと笑った。
「もうすぐ消えるかも知れないというのに、冷静だな」
「実感ないもの。元々自然の摂理に反した生き物なんだから、元に戻るだけよ」
「・・・なんだろうな。おまえの方が現実を受け入れているな」
「女ですから」
クスクスと笑うと、クロも少し笑った。
「こんな風に、前の刹那とも話した?」
ふと疑問に思い聞いてみた。
「いや、前のはあまり話さないまま、連れて行かれた」
「そう。・・・クロ、歴代の刹那を忘れないでね」
私は、刹那の中に入れられた『誰かの魂』を糧に動いている、ただの人形。こうやって、意識があっても、魂と入れ物とは別物。一体私って誰なの?