時 空 堂
「おまえはよくやったよ。死を見、魂を送り出した。おまえの来世はきっと幸せだ」
クロは目を細め、優しい声で言った。
その言葉に胸がすぅっとした。
そうだ。私が誰だっていい。こうして、生きていた。誰かに携わった。それだけで、幸せなこと。
見送ってきた人たちを見て、私はそう思える。
誰かの記憶に、私は残っている。
そんなことを考えていると、視界が歪んだ。
「そろそろかもな」
クロが呟いた。
「・・・そうみたい」
自分の両手を見つめた。はっきり見えているのに意識が朦朧としてきた。
「過去が変わる。移動するとしよう」
クロは下ろしていた腰を上げた。
「私はここでお別れね」