時 空 堂
時計を見た。待ち合わせ時間まであと少し。早く行かなくちゃ。
「榊さん、俺行ってくる」
そう言って、上着を持って玄関へと向かった。
「気をつけて行ってくださいね。人の多い時間帯ですから。すぐ暗くなるし、夜遊びはほどほどにしてくださいよ」
「うん。ごめんね」
靴を履き、勢いよく玄関を開けた。
もうすぐしたら夕陽が見えそうだ。
「いってらっしゃいませ」
榊さんの声を聞いた後、玄関を閉めた。
携帯をポケットから取り出し、恭華へと電話をした。
PPPPPPP
呼び出し音だけが虚しく耳に響いた。
「何やってるんだよ」
祈るように何度かけ直しても恭華は出なかった。