時 空 堂

 きっと他人から見たら、それだけの理由で過去や未来にいくの?ってことなんだ。

 卑しくも恭華に縋りつき、失ったことで、さらに恭華の死に囚われ生きてきた俺は、恭華の死を受け入れてしまうのが怖かった。

 もし、過去に行き、助けられなかったら?という不安が強かった。二度も失うなんて、耐えられない。

 でも、それは自分へのいいわけ。

 恭華を助けたらいいだけの話なんだ。恭華が生きていたら、これをしよう、あそこに行こう、そんなことを考えていたことを実行したい。

 マイナスなことを考えていたから、前に進めなかった。

 業がなんだっていうんだ。罪を抱えていない人間なんて居ないだろう。

 俺は死なない。そして、恭華も救ってみせる。

 必ず。
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