時 空 堂

 がむしゃらに走り、駅前へと着いた。人が多く、周りが見渡せない。ちょうど、駅から人が出てき始めたところだった。人を避けても避けても、前に立ちはだかった。

「どこだ、恭華っ」

 首を左右あちこちに向ける。でも、恭華らしき人は見当たらない。気持ちだけが焦る。時間が迫っているのに。どうしたらいいんだ。

 その時近くの陸橋が目に入った。

 あの上からなら恭華を探せるかも知れない。

 そう思った瞬間走り始めていた。恭華、どこに居るんだ。気持ちだけが焦っていた。

 陸橋の階段を一段飛ばしで上りきり、上から下の道路を見渡した。

「恭華、恭華っ」

 願うように、俺はずっと恭華の名前を呟いていた。

 太陽が傾き始めた。もうすぐ、あの時間になる。早くっ、早くしなければ・・・。

 
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